最近注目を集めている金融工学である「ファクタリング」。2020年4月から施行される改正債権法により、これまでファクタリング事業を行なっていなかった企業が、ファクタリング事業に参入するなど経済界を盛り上げていることも事実です。

金融界では、バブル直前ともいえるファクタリング業界ですが、隆盛に向かう業界には陰となる部分もあります。それが、悪徳会社や詐欺会社といった、ファクタリングを申し込まれる側の不正です。また、それだけではありません。利用する側の不正も実際に起こっているのです。

今回は、ファクタリングを利用する側の不正について詳しく解説していきます。

ファクタリングの不正利用は犯罪?

ファクタリングの不正利用は犯罪になる可能性が非常に高いです。ではどのような犯罪行為に値するのでしょうか?

詐欺行為になり刑事事件になる

ファクタリングは金融サービスに当たります。ニュースなどで不正融資やインサイダー取引によって、多くの大企業が検察庁から取り調べや家宅捜索を受けているシーンを見たことがあるはずです。ファクタリングの不正利用は、これらの金融事件同様、詐欺罪として告発される可能性が非常に高いのです。

会社の倒産だけでは済まない可能性も

ファクタリングは緊急時に行なわれる金融取引というのが一般的な認識です。そのため不正に利用して、詐欺行為で告発された場合、資金を調達することができずに会社の倒産を招いてしまいます。

倒産だけでは済まないケースもあります。社長の一存で不正行為を働いたのであれば別ですが、会社ぐるみで不正行為を黙認していた場合、詐欺ほう助の罪で起訴されてしまう可能性もあります。

会社の倒産だけではなく、社員の人生をも地獄に落としてしまうのが、ファクタリングによる不正行為なのです。

ファクタリングにおける不正行為とは何?

ファクタリングの不正行為にはどのようなことがあるのでしょうか?ここでは代表的なファクタリングの不正行為について解説していきます。

二重譲渡

ファクタリングをした売掛債権を、他のファクタリング業者で再度ファクタリングを行なって資金調達を受ける行為です。ファクタリングで扱うのは、売掛債権という「権利」です。リサイクルショップに使わなくなった家電を買い取ってもらうのとは話が違います。

商品(権利)が目に見えないため、権利の所在がどこにあるか不明瞭ということもあり、二重譲渡をしても、その事実が発覚しない場合もあるのです。売掛債権の二重譲渡は、刑法上では詐欺罪に該当します。ファクタリングを利用する側としては最悪の不正行為といえます。

架空請求

先ほども述べたように、ファクタリングで扱う売掛債権は、手元に残るような商品ではなく、「権利」という目に見えない商品です。目に見えないことをいいことに、実際には存在しない売掛債権をファクタリングして資金を調達することは立派な犯罪行為です。

売掛債権が後々発生するだろうという予測でのファクタリング行為でもOUTです。実際に発生した売掛債権がファクタリング対象の売掛債権になりますので、その部分を勘違いしないようにしてください。

虚偽情報によるファクタリング

実際には300万円の売掛債権なのに、売掛金を600万円と偽って資金調達を受ける行為も詐欺行為です。もちろん手数料などは差し引かれますが、本来の売掛債権額である300万円を大きく超えて資金調達を受けようと画策する行為になります。

虚偽情報は、売掛債権額だけではなく、売掛元や売掛先の情報に関しても同様です。ファクタリングを申し込む際には、全ての事実をありのままに伝えることがもっとも重要なのです。

無自覚でしてしまう不正行為がある?

ファクタリングの不正行為には、故意ではないケースもあります。例え故意ではなくとも、ファクタリング会社が被害を受けて告発すれば、詐欺事件として処罰されることを覚えておいてください。ここでは代表的な無自覚の不正行為について解説していきます。

1つの売掛債権を複数社で使い分ける行為

売掛債権を資金化するファクタリングで、1つの売掛債権を複数社に分けてファクタリングすることはできません。売掛債権1つにつき、ファクタリング会社1社というのが原則です。

例えば、1億円の売掛債権の内、3000万円をA社、7000万円をB社という風に分けてファクタリングするのは不可能なのです。これは債権法という法律で定められていることでもあります。高額な売掛債権でファクタリング会社の上限額以上の資金が必要なのであれば、申込をしたいファクタリング会社に相談するか、他の上限額が高い業者を探すしか方法はないのです。

後で返せばいいは通用しない二重譲渡

無自覚というわけでは無いですが、モラルの問題として起こり得るのが、後で返せばいいだろうと考えて、故意に二重譲渡を行なう場合です。二重譲渡はもちろん違法行為で詐欺罪として告訴されます。しかし、ファクタリング会社にバレなければ、二重譲渡をしても大丈夫という間違った認識が多いことも事実なのです。

ファクタリング会社への入金の際に、売掛債権額を全額納金できる資金が手に入るから大丈夫というのは通用しません。返したから大丈夫は、刑法では通用しないのです。二重譲渡を行なったという事実が既に犯罪行為にあたるのです。

無自覚の不正行為を働かないためにできることは?

無自覚の不正行為は、自分が行なわなくとも部下が起こしてしまう可能性も少なくありません。不正行為を働かない、働かせないようにするためにはどんな対策ができるのでしょうか?

ファクタリング会社へ質問する

ファクタリングで無自覚の不正行為が起こるそもそもの原因は、ファクタリングの知識不足が挙げられます。ただでさえ、認知度が低い資金調達方法な上、きちんとした知識を持っていなければ、知らない間に不正行為を働いていたということにもなりかねません。

多くのファクタリング会社は、ファクタリングの基礎知識や相談などを無料で行なっています。あれ?この手法は不正じゃないんだろうか?と感じたら、まずはファクタリング会社へ資金調達方法の相談をすることをオススメします。

社外コンプライアンスなど財務状況の監査を定期的に行なう

社長である自分以外がファクタリング担当だった場合、意図せず不正行為を犯してしまう可能性も少なくはありません。ファクタリング以前の問題ともいえます。ファクタリングは、企業の財務状況を健全化するために行われるものです。

しかし、健全な財務状況を目指す中で、不正なファクタリング行為が行われていては、なんの意味もありません。社内の風通しという部分でも、社内監査だけではなく、社外監査などを定期的に行ない、ファクタリングの不正行為が無いかチェックするのも経営者の責任なのです。

ファクタリングを不正に利用するのは絶対にNG

ファクタリングの不正行為は、イコール犯罪です。意図的であっても、無自覚であっても犯罪であることに変わりはありません。きちんとしたファクタリングの法律や知識を学び、健全なファクタリング利用を行なって、自社の財務状況を改善させてくださいね。