ファクタリングの歴史 実は遠い昔から確立された金融施策

ファクタリングの歴史

ファクタリングの発祥地はイギリスといわれています。古くは15世紀、売掛金の保証サービスをするファクタリング業者が存在しました。アメリカでも20世紀初めには、金融サービスの1つとして認知されていたのです。

海外では、不動産担保融資のよりも一般的に行われるファクタリング。日本では1980年頃からと歴史はまだ浅い取引方法です。今回は、ファクタリングの歴史について解説していきます。

アメリカにおけるファクタリングの歴史

現在のファクタリングが確立されたのは、19世紀末~20世紀の初頭にかけてのアメリカでした。もとは繊維業界で発展してきた金融工学。しかし、他の業種でも資金調達方法の手段として【売掛先の信用調査に基づく資金提供】=ファクタリングが行われるようになったのです。

100年以上の歴史を持つ金融手法であるファクタリング。認知度も高いことから、中小企業の資金繰り方法として欧米では一般的な資金調達方法です。現在でも、アメリカのファクタリング市場規模は日本の5~10倍といわれています。

イギリスにおけるファクタリングの歴史

ファクタリングの起源を辿れば、古くは古代メソポタミアまで遡ることになります。この時代を経て、大航海時代が幕開けとなり、海外貿易をきっかけとして現在のファクタリング取引の原型が生まれました。

1600年代になると、現在のファクタリングに近い取引方法が確立されます。アメリカの植民地主義者は、イギリスに出荷された綿や木材、たばこなどの原材料の輸出に前払いを求めました。本拠地をロンドンとする商業銀行家は、アメリカへ航海するため、請求書を使った売掛金担保融資で植民地主義者に資金の提供を行いました。今の銀行系ファクタリングで提供されている売掛金担保融資が、1600年代に既に行われていたということですね。

支払いを補償する制度として、ファクタリングが利用されていた点からすると、現代のファクタリングとは少し利用目的が異なっていたと考えられます。ただ、一時は世界の4分の1を支配していたともされるイギリスで生みだされたのが現在のファクタリングの概念となっています。それが後にアメリカへ伝わったといえるのです。

海外でどのように広まったのか?

海外でファクタリングが広まった理由として、次のようなことが挙げられます。

ファクタリングとは時間を買うもの

売掛金の回収は早ければ早いほど、利益の再投資が可能となります。ファクタリングをすることで経営効率を高めることが可能です。ファクタリングとは、売掛債権を早急に売却すると同時に、資金調達にかかる時間を買うものです。

ファクタリングとはリスクを売るもの

売掛債権には【回収リスク負担】が必ずあります。帳簿上売り上げが上がっていても回収できなければ黒字倒産もあるのです。ファクタリングは、償還請求権なしといって、買ってもらった債権は、ファクターのリスクになります。ファクタリングとはそのリスクを売ることでもあるのです。

経済のグローバル化は止められない

仕入や販売において、キャッシュの重要性は高まる一方です。このような現代にキャッシュフロー経営、スピード経営は避けては通れなくなってきています。このような局面において、世界的にスタンダードな手法を使わないという手はありません。

ファクタリングは、グローバル化に特化した取引方法の1つといえます。より早くスピーディーに資金調達することで、経営基盤の強化に貢献してくるのです。

日本におけるファクタリングの歴史

日本では、1970年代にファクタリングが注目されるようになりました。バブル期に突入すると、中小企業や個人事業主といった経営者が増加し、資金調達の方法としてファクタリングを使うようになったのです。海外に比べると日本でのファクタリングは、遅咲きといえます。

日本ではなぜ遅いのか?

日本で、ファクタリングが浸透しなかった理由は3つあります。

1. 総合商社がファクターの機能を含有していた

日本では、海外取引には総合商社のファクター機能が含まれていました。

  • 代理店機能
  • 金融機能
  • 信用調査機能

商社が一手に、これらの機能を含有することによって【利便性】を売っていました。しかし、インターネットの普及により現代では小口の国際取引が活性化しています。従来の総合商社では対応に限界がでてきたのです。

2. 手形取引が主流だった

日本では、昔から手形取引が主流でした。しかし、手形の決済金額は大きく減少しています。手形取引はいわゆる【信用取引】です。

手形取引は、バブル崩壊により経済に対する信用性が低下したことで崩れてきました。数字から見ても、手形の流通量はピークの1990年は4,797兆2,906億円でしたが、バブル崩壊後は激減し、2001年は1,000兆円を割り込みました。

日本では、手形取引の代わりとして注目されたのがファクタリングなのです。

3. 売掛債権譲渡に対するモラルの問題

日本では、売掛債権を譲渡することが「売掛債権の譲渡は信用の低下につながる」というイメージに繋がっていました。この懸念を払しょくするために2社間ファクタリングというものがあります。しかし、「取引先に知られたくない」という弱みを握られた取引という感覚が拭いきれずにいるのです。

日本におけるファクタリングの未来

海外ほど浸透していないファクタリングですが、日本でも徐々に知名度を上げてきました。ファクタリングに対する評価や考えが変わりつつあるのです。未来の日本における商取引で、ファクタリングの役割は変わっていくことが予想されます。

ファクタリング業者の増加

ファクタリングが主流の資金調達方法になれば、業者の増加は必須です。ファクタリング業は貸金業ではないため、法に基づく手数料の規制などはありません。よって、法外な手数料を請求するような悪徳業者もでてくる可能性があるのです。

ファクタリングが身近な資金調達方法になるということは、利用者がファクタリングについての知識を得なければならないのです。

政府の奨励

経済産業省は、【売掛金を活用したファクタリングは、真当な資金調達法】であると述べ推奨しています。国内の中小企業が保有する売掛金は、76兆円以上ともいわれています。その中で、ファクタリングの活用率は全体の0.6%に過ぎません。
そのためもっと資金調達手段として活用するべきだと考えられているのです。

少子高齢化により土地の価値が下落している日本では、資金調達の主流だった不動産担保融資も落ち目となっています。ファクタリングで資金調達をスピーディーに行えば、経営状態の不安定化から脱出できることもあり、日本政府から推奨されているのです。

ファクタリングが確立した金融対策と未来

資金繰りを考えるのは、経営状態が悪化した場合です。しかし、欲しいときに即借りられるものではありません。金融機関に話をしても、すんなり資金調達できるのは稀なのです。

だからこそ、1年後や2年後、場合によっては5年後、10年後の事業の形を考えることが大切になってきます。未来を見据えて財務状況を把握し、よりスピーディーな資金調達を行うために、確立された金融対策がファクタリングなのです。