初めてファクタリングを利用する側にとって、最も重要な事は確実に資金化できる安全・安心なファクタリング会社の選択です。自社の財務状況改善に、親身になって協力してくれる所は優良会社といえます。
安心できるファクタリング会社として筆頭に上がるのは、銀行系ファクタリング会社です。
しかし、銀行系ファクタリング会社は民間ファクタリング会社に比べ【審査が厳しい】といわれています。
銀行系ファクタリング会社と契約するには【なぜ審査が厳しいのか】という理由を知っておかなければ、安易に民間ファクタリングで損をすることもあるのです。
銀行系ファクタリング会社の審査に影響する2つの違い
銀行系ファクタリング会社の審査の厳しさは、民間ファクタリング会社との2つの違いが影響しています。
特殊なファクタリングが可能
【特殊】とは、民間ファクタリング会社で行なっている【2社間ファクタリング】と【3社間ファクタリング】以外のファクタリング方法です。もちろん銀行系ファクタリング会社でも2社間や3社間といったファクタリングができる所もあります。
銀行系会社で行なわれている特殊なファクタリングを挙げます。
- 保証ファクタリング
- 国際ファクタリング
この2つは、民間のファクタリング会社でもあまり行なわれていない取引方法です。
保証ファクタリング
『保証』という名前の通り、売掛債権の未回収リスクヘッジが目的です。
売掛債権には、支払い遅延や倒産などによる回収不能というリスクが常に付きまといます。
売掛先が完全に入金ができない状態になってから、保証ファクタリング保証された債権額面を資金化できます。運転資金を得る為ではなく、将来入金される売掛金を守るという意味合いで利用されるのです。
参照 保証ファクタリングとは
国際ファクタリング
輸出業が利用するファクタリング取引で、似たような手法に『信用状L/C』があります。
この信用状L/Cは、手続きに時間がかかるといった点や書類の到着が遅くなるというデメリットがあるのです。
国際ファクタリングは手続きが簡略化され、書類のやり取りも必要ありません。輸出企業は代金回収が保証される上、海外の輸入企業の信用調査もできるというメリットがあります。回収不能リスクが高い海外取引でも、安心して取引ができるファクタリングなのです。
参照 国際ファクタリングとは
高額な売掛債権買取も可能
銀行系ファクタリング会社の債権買取上限額は、民間ファクタリングよりも高めに設定されています。
初期取引時で1億円以上、取引状況に応じて数億円規模のファクタリングが可能なのです。
豊富な資金力が民間ファクタリング会社と決定的に違う
銀行系ファクタリング会社の親会社は、日本3大メガバンクや有力地銀です。
銀行以外にも多くの金融サービスを展開しており、その資金力は民間ファクタリング会社の比ではありません。
製造業や建設業のような高額債権を持つ業種でも、審査さえ通れば数億円規模の運転資金を調達できます。
3社間ファクタリングがメイン
ファクタリングの基本的な取引手法には【2社間ファクタリング】と【3社間ファクタリング】の2種類があります。
3社間ファクタリングは2社間ファクタリングに比べて回収不能になるリスクが低い為、高額債権だとしても買取できるのです。
ただし、3社間ファクタリングは債権譲渡通知不要の2社間ファクタリングに比べて、利用者側にデメリットになるケースがあります。
それが、ファクタリングをしなければ経営が立ち行かなくなるという【事実】を売掛先に知られてしまう事です。
ファクタリング実行の事実を売掛先に知られてしまう事が、将来的な取引縮小や取引解消に繋がる可能性があります。
銀行系ファクタリングを利用する際には、売掛先との信頼関係にも注意すべきなのです。
銀行系ファクタリングの違いは審査の厳しさに直結する
民間ファクタリングとの2つの違いは、銀行系ファクタリング審査にとって大きな壁になります。
ここまで大きな壁になる理由は【特殊ファクタリングの目的】と【銀行というネームブランドを死守する事】に他なりません。
特殊ファクタリングの目的
保証ファクタリング・国際ファクタリングで求められるのは、売掛先と売掛元の財務状況が健全であるかという点です。
2社間や3社間と違い、資金化目的のファクタリングでは無い為、金策というよりも売掛債権保証といえます。
保証には申し込み者や保証対象のリスクチェックが必要不可欠です。
売掛先だけを重点的に審査するファクタリングとは違う為、自社の財務状況によってはファクタリングができません。
自社の財務状況を健全化する事が審査通過の為に必要なアクションになります。
銀行というネームブランドを死守する事
特殊ファクタリングも2社間・3社間も【債権の回収が不可能】になるリスクがあります。
民間ファクタリング会社であれば、売掛元に支払った分の損失を計上するだけで済みます。
しかし銀行系ファクタリング会社で債権回収不可能は、絶対に起こしてはなりません。
もし債権回収不可能が起こった場合、銀行の債権回収能力を疑われます。
株式会社の場合は株価にも影響する重要な金融事故です。
利用希望者に対して【この会社は債権回収不可能を事前に見抜けない無能な会社】というイメージを持たれてしまいます。
ネガティブイメージは、ファクタリング会社だけではなく、親会社である銀行にまで影響しかねません。
そして悪質な利用者を引き寄せてしまう可能性もあるのです。
悪質利用者の手口
ファクタリングの悪徳業者は注意喚起されていますが、悪質ファクタリング利用者も存在しています。
実際に事件になった3つの手口があります。
架空債権
架空の売掛債権を発行してファクタリング会社に買い取らせます。
請求書や売掛台帳、銀行の入出金明細などをねつ造して現金を搾取します。
詐欺罪や文書偽造罪として実際に逮捕者も出ている手口です。
二重譲渡
二重譲渡の本来の意味は【ある物や権利を他者(第一譲受人)に譲渡した譲受人が、同一の物を第三者(第二譲受人)へ譲渡する事】です。
ファクタリングでの二重譲渡は、契約済みの債権を複数のファクタリング会社に買い取らせ現金化する手口です。
この二重譲渡は、利用者が意図せず二重譲渡になってしまったというケースもあります。
組織ぐるみの計画倒産
売掛先と売掛元が結託して多額の売掛債権をファクタリングし、売掛先を計画倒産させる手口です。
最も被害額が大きく、過去に起こった事件では未だに未解決のままの事案もあります。
参照 不正にファクタリングを利用すると詐欺に該当する可能性も
こうした悪質利用者を、銀行系ファクタリング会社へ近寄らせないようにする為にも審査が厳しくなされるのです。
金融サービスのスペシャリスト=銀行というイメージは、例え傘下の金融サービス会社であっても親会社と同等に見られるのです。
銀行グループの存亡が掛かっているからこそ、売掛先だけでなく売掛元も審査されます。
決算状況に赤字があると間違いなく審査通過は不可能です。
自社の財務状況によっては資金調達の可能性がかなり低くなる事を覚えておいて下さい。
銀行系のファクタリングは審査が必須!緊急性が高いなら民間のファクタリング会社を検討しよう
緊急で資金調達が必要なのであれば、銀行系ファクタリング会社は不向きです。
資金化までのプロセスの中で【資金化できるか否か】は特に重要視されます。
効率や審査落ちを懸念しているのであれば【民間ファクタリング会社】を検討すべきなのです。