資金繰りが厳しい中小企業にとって、延現金払いは売掛金の支払い期日を伸ばされてしまう取引です。下請法によって、無意味な延現金は禁止されていますが、条件次第では下請法が適用されません。延現金払いを断れば良いと考えているかもしれませんが、実際に申し込まれた下請企業は「NO」といえないのです。
こうした下請中小企業の「延現金払い苦」を解消できるのが「ファクタリング」です。延現金払いを申し込まれた際は、快諾した上で「ファクタリングの承諾」を提案してください。たったそれだけのことで自社と取引先が「WIN WINの関係」になれるのです。
延現金払い⇒ファクタリング⇒WIN WINの法則
延現金払いを申し込まれる。資金繰りが厳しい下請企業にとっては有り難くない申し出です。ただでさえ資金繰りが苦しいときに、いつもの期日ではなく、60日後や90日後に期日を延ばされてしまうのです。
本来の給料日が3ヶ月先にされるようなもの。仕事のモチベーションが下がってしまうなどの悪影響が大きい取引といえます。
しかし、延現金払いの申し出を受けた際に、下請側からファクタリングの提案をしてみるとどうなるでしょう。親会社としては支払い期日を伸ばせますし、下請企業としては期日前に資金調達ができる「WIN WIN」の関係になるのです。
延現金払いの基本
延現金払いは売掛金の支払い期日を後日に延ばせる取引方法で、手形取引のような書面ではなく「口頭」つまり「口約束」で交わされるのが特徴です。手数料が発生する手形取引に代わって、多くの企業で行われている取引方法です。
延現金払いは「期日払い」ともいわれています。下請や孫請のようなパワーバランスが取引先よりも低い立場にとっては、例え資金繰りが悪くても「NO」と言えないデメリットもあります。
ファクタリングの基本
売掛債権を第三者であるファクタリング会社へ売却することで資金を調達するのがファクタリングです。ファクタリングの基本を覚えておきましょう。
- 手数料として債権総額の5%~30%が発生
- 申込から資金入手まで最短即日での調達が可能
- 審査対象は売掛債権と売掛先である取引先
- 赤字経営であっても利用可能
- 償還請求権無しの取引では債権回収不能リスクごと譲渡できる
- 債権譲渡登記を求められる場合もある
手数料は取引方法やファクタリング会社によって異なります。手数料の上限値や下限値を定めている法律がないため、ファクタリング会社同士の相場によって決められるのです。基本的な取引方法と手数料は
2社間ファクタリング…15%~30%
3社間ファクタリング…5%~15%
です。2社間とは売掛債権を持っている売掛元企業(申込企業)と債権の売却先であるファクタリング会社の2社です。3社間はこの2社に取引先を含めた3社で交わされる方法です。
2社間の方が3社間よりも資金を調達するまでのスピードが早いです。3社間は取引先の日程調整や承認が必要になるため、審査のみで資金調達ができる2社間よりも時間がかかるのです。
融資ではなく、売掛金の回収が確実にできれば契約できるため、審査対象は売掛債権の信憑性と取引先の財務状況になります。取引先の経営状況が悪ければ、例え申込企業が黒字経営だとしても審査落ちする可能性が高くなります。
償還請求権とは、万が一支払い期日に取引先が倒産をしてしまい、売掛金の回収ができなくなった場合、ファクタリングで得た資金の返済を請求できる権利のことです。基本的には償還請求権無しのファクタリングが主流ですが、銀行を親会社に持つファクタリング会社の場合は、償還請求権有りの契約をされる可能性もあります。
ほとんどのファクタリング会社では、債権の二重譲渡などを防ぐ目的で債権譲渡の事実を公的に証明する「登記」が求められます。登記無しでも契約はできますが、手数料などが割高になってしまうケースもあるため、契約時に確認してください。
3社間ファクタリングでWIN WINにする
延現金払い+ファクタリングでオススメな取引方法は「3社間ファクタリング」です。取引先に承認さえ得られれば、格安の手数料で契約が可能です。3社間ファクタリングでは、売掛金が直接取引先からファクタリング会社に入金されるため、売掛金の回収業務の手間も省けます。
延現金払いは悪!なのか?
延現金払いのメリットは取引先しか享受できません。売掛元にとっては嫌々でも受けざるを得ない取引方法です。手形であれば、手形割引などで資金調達が可能です。しかし、手形の発行や管理には手数料が発生するため、多くの親会社が口約束で取引できる延現金払いを利用している現状があります。
ただし、ほとんどの取引が売掛で行われる建設業は手形発行コストの削減のメリットがないため、手形取引が主流です。
親会社も下請のために仕事を取っている
たしかに、延現金払いは下請や孫請企業にとっては支払い期日を延ばされるのは苦しい台所事情を更に苦しくします。しかし、親会社も取引している下請企業のために新規契約などを取るための投資などをしているという考えもあるのです。
一概に「延現金払い=悪」と片づけられないのです。
下請法上OUTな延現金払いもある
下請法とは、親会社からの下請いじめを防ぐために定められている法律です。理由のない延現金払いは下請法では禁止されています。条文では「商品やサービスが提供されて60日以内に代金を支払わなくてはならない」と明記されています。しかし、取引先との関係によっては適用されないケースもあります。
- 資本金3億円超の親事業者(売掛先)と資本金3億円以下の下請事業者(売掛元)の取引
- 資本金1000万~3億円以下の親事業者と資本金1000万以下の下請事業者の取引
この2つ以外の関係の延現金払いは下請法でNGになりません。資本金999万円以下の親会社企業と900万程度の下請企業での延現金払いは違法とならないということです。
下請いじめの現実
実際に、下請いじめが現代の日本で起こっています。ある工場を経営する父親を持った息子さんが新聞で語った「下請いじめ」はまさに下請という弱い立場に対する会社ぐるみのパワハラと話題になりました。
2017年度に下請法違反で「指導」を受けた件数は6752件と過去最悪を更新しています。10%以上となる749社が「下請代金の減額」や「支払い遅延」などを経験していたようです。国の相談窓口もほとんど機能しておらず、政府も頭を悩ませているのが現状なのです。
こうした下請いじめに対抗できるのが「ファクタリング」です。下請いじめをされたとしても、延現金払いを違法的にされたとしても、ファクタリングで期日前に資金化しておけば、下請いじめの効果もありません。売掛金を早期に回収して、いじめリスクから逃れられるのです。
延現金払い+ファクタリングこそこれからの経営に重要な金融工学だ!
延現金払いは、今後増えていくことが予想されています。中小企業の経営者としては、ただ指をくわえて苦しむよりも、他の手段を使って資金調達をしなくては生き残れないのです。ファクタリングを活用して苦しい台所事情を改善できるようにしてください。