もはや小学生でもスマートホンを使って手軽にインターネットを利用する時代です。IT関連企業、特にエンジニアなどのシステム開発に携わる情報通信業は好景気です。しかし、中小企業を中心に「資金繰りの悪化」が懸念されている現状があります。
いくら巨額が動く業界といっても、開発側に資金が無ければスタートにも立てません。銀行融資や助成金のような、今までの資金調達方法では、24時間365日進化し続ける情報通信業界で生き残れないのです。
スピード重視で資金調達ができる「ファクタリング」は、まさに情報通信業のための金融工学をいえるでしょう。売掛債権さえあれば最短即日での資金調達が可能です。ただ、状況に応じた使い方をしなければ、取引先との関係を悪化させてしまう可能性があります。情報通信業のファクタリングを上手に活用するためにも、取引手法を「ロジカル」に使い分けることが重要なのです。
情報通信業にファクタリングが有効な理由
ファクタリングは、売掛債権を第三者に売却して資金を調達する方法です。融資などと違って用途制限もなければ、将来的な借金にもなりません。自社の財務状況に合わせてフレキシブルに活用できる「強み」があります。ファクタリングには、売掛元(利用者)とファクタリング会社で行う2社間取引と、2社に取引先を加えた3社間取引の2通りが使われています。
ファクタリングの強みを最大限に利用するためには、取引手法別に情報通信業に関わるメリットやデメリットを把握しておかなければなりません。
2社間取引の情報通信業に関わるメリットやデメリット
2社間取引の2社とは、債権を売却したい売掛元企業と債権を買い取るファクタリング会社の2社を指します。
情報通信業に関わるメリットには
- 資金調達までのスピードが早い
- 審査は売掛債権そのものと取引先が重視される
上記2つが挙げられます。逆にデメリットとして次の2つが挙げられます。
- 手数料が高い
- 取引先との関係が悪化する可能性がある
資金調達までのスピードが早い
ファクタリング会社によって異なりますが、多くの会社が資金調達を申し込んでから、最短即日で入金可能です。緊急な支払いなどで資金が必要な場合は重宝します。
審査は売掛債権そのものと取引先が重視される
いくら業界が好景気だといっても、システム開発の下流にいる企業も同じとは限りません。社員数も少なく、資金繰りは常に火の車という会社も少なくないのです。ファクタリングの審査は融資審査などと違い
- 売掛債権そのものが架空ではないか
- 取引先から確実に売掛金が入金されるか
この2つを重視します。
赤字決算や税金滞納をしていても、確実に入金される見込みの売掛債権さえあれば資金化できる可能性が高いのです。
手数料が高い
ファクタリングは融資ではありません。そのため、貸金業法が適用されないのです。2020年現在、ファクタリング手数料の上限を定めている法律はありません。ファクタリング業界内での「相場」で手数料%が決まります。
2社間ファクタリングの相場は「売掛債権総額の10%~30%」です。仕事単価が高額になりやすい情報通信業では、数%の違いで数十万円~数百万円の利益が目減りしてしまうのです。
取引先との関係が悪化する可能性がある
2社間ファクタリングは、取引先に債権譲渡通知を行わずに資金調達をする方法です。ファクタリング会社は取引先に債権譲渡通知をする義務が無いため、売掛元は取引先に知られずに債権を売却できるのです。
しかし、ファクタリング会社によっては「債権譲渡登記」を必須にしている所もあります。架空債権や債権の二重譲渡を防ぐための防衛策ではありますが、登記を行うことで取引先に内密にできなくなるのです。
登記は法務局で行われます。取引先が登記の確認を行うと、ファクタリング実施を知られてしまうのです。債権譲渡登記が知られてしまうと、取引先との関係が悪化する可能性が高くなります。
債権を取引先に黙って資金化する行為はもちろん、自社の資金繰りが悪いという事実が悪評を呼んでしまい、将来的な取引などが縮小する可能性もあるのです。
登記が不必要なファクタリング会社を選べば良いと思われていますが、ほとんどのファクタリング会社は登記無しの取引には手数料を高めに設定しています。スピードを求めるか、内密な資金調達を求めるかは自社の財務状況によって比較検討してください。
3社間取引の情報通信業に関わるメリットやデメリット
3社間は売掛元(申込企業)と取引先、ファクタリング会社の3社で行われる取引方法です。情報通信業に関わるメリットには
- 手数料が安い
- 取引先も了承の上の債権売却ができる
上記2つが挙げられます。逆にデメリットとして
- 資金化までの時間が長くなる可能性がある
上記が挙げられます。
手数料が安い
2社間のデメリットである手数料の高さですが、3社間の相場は「売掛債権総額の5%~15%」と2社間相場の約半分しか発生しません。利益を1円でも多く確保したいならば3社間取引が有効です。
取引先も了承の上の債権売却ができる
2社間のデメリットである「債権譲渡を取引先に知られる」ことで起こりうる「悪影響」がありません。企業同士の信頼関係を壊すことなく債権売却ができます。
資金化までの時間が長くなる可能性がある
2社間と違い、取引先の都合によって資金調達までの時間が長くなる可能性があります。スピーディーな資金調達を求めるならば、申し込む時点で取引先とのスケジュール調整などを行っておきましょう。
情報通信業の資金繰り悪化要因対策としてのファクタリング活用方法4選
情報通信業の資金繰りが悪化する要因は色々あります。特に多い4つのシチュエーション別に2社間と3社間のどちらを使うべきかを解説します。
- システム納品が遅れて本来の請求ができない
- 取引先からの入金が遅れた
- 外注先への支払いタイミングが変更になった(短縮された)
- 仕事量の増減による運転資金不足
システム納品が遅れて本来の請求ができない
情報通信業で最も多いのが、システム納品の遅れによる未請求と入金の遅れです。支払いシステムにもよりますが、末締め次月末払いだとまるまる1ヶ月間の入金がないのは資金繰りを悪化させます。
入金日が遅れたからといって従業員の給料や費の支払いを遅らせられません。このようなときには「2社間ファクタリング」で当面の経費支払いを済ませておきましょう。
取引先からの入金が遅れた
報酬が期日に入金されないケースも考えられます。特に多いのが親会社も下請だった場合です。本元からの入金がされずに自社への入金ができない場合、連鎖倒産が起こりうる危険なケースです。
連鎖倒産を防ぐためには「3社間ファクタリング」を活用しましょう。手数料も安く、利益を確実に確保できる上、取引先の破産リスクもファクタリング会社へ譲渡できます。
支払いタイミングが変更になった(短縮された)
最近多くなっている「延現金払い」にも似ています。従来の支払日よりも前倒しされたり、遅らされたりすることで、資金サイクルが悪くなってしまう状態を指します。
この場合、取引先に自社の状況を知ってもらった上で「3社間ファクタリング」を提案してください。取引先は支払いサイクルを変更するという当初の目的が果たせますし、自社としても安い手数料で安定した資金繰りができます。
仕事量の増減による運転資金不足
好景気といえども、仕事量の変動はどこの業界でも起こり得ることです。案件によっては外注が必要になるケースもあります。しかし、外注したくても資金がなくては依頼もできません。急な仕事増には2社間ファクタリングを活用して、素早く資金調達を行いましょう。
逆に仕事が激減してしまった場合、新規案件を確保するための資金も必要です。その場合も「2社間ファクタリング」で早めの資金調達を行い、新規案件の営業に力を入れるべきです。
情報通信業の資金繰りはファクタリングがオススメ!
情報通信業は今後更に市場が拡大することが予想されます。会社の利益向上のチャンスを逃さないようにするためにも、資金繰りを安定は必須といえます。2社間と3社間を状況に応じて使い分け、チャンスを逃さないようにしてください。