ファクタリングは貸金業ではありません。つまり「お金を貸す・融資する」という行為には該当しません。そのため貸金業法や利息制限法には該当しません。これにより金利や年利という概念もありません。
その代わり「手数料」を取られることとなります。これがファクタリング会社の利益となります。
貸金業とはどのようなものか?
貸金業とは、「金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介で業として行うものをいう」と法律(貸金業法)で定められています。
貸金業というと、消費者金融をイメージする方も多いですが、それ以外にも貸金業に該当する業種がいくつかあります。
- 信販会社
- クレジットカード会社
- リース会社
これらの貸金業は、必ず貸金業登録を受けなくてはなりません。貸金業に該当する事業を行う事業者は、規模の大小に関わらず、貸金業登録を受けていないと営業ができないのです。
貸金業を起業するための条件
貸金業を起業するには貸金業登録を行いますが、登録には2種類の方法があります。
財務局長登録
2つ以上の都道府県で営業所を設置する業者が申請する登録です。所在地を管轄する各財務(支)局へ申請を行います。
知事登録
1つの都道府県にだけ営業所を設置する業者が申請する登録です。各都道府県知事へ申請を行います。地域や条件により申請方法が違うことがあります。
申請する際には以下の必要な要件をクリアしていなければなりません。
- 欠格事由に該当しないこと
- 事務所の設置
- 専任の貸金業務取扱主任者の設置
- 貸金業を遂行するために必要と認められる基準に適合する財産的基礎を有すること
- 貸金業を遂行するために必要な体制が整備されていること
上記全てが整って初めて申請できるのです。そして登録後、有効期間は3年間と定められています。有効期間後も引き続き営業を続ける場合は、有効期間の満了する5ヶ月前~2ヶ月前までに更新手続きを行う必要があります。
貸金業法の目的とは?
日本での貸金業は、貸金業法で規制されてきました。しかし、高度経済成長期以降、消費者金融問題や闇ヤミ金業者と呼ばれる金融業者の執拗な取り立てで、利用者の生活苦による自殺などが多発。社会問題に発展します。2010年、「多重債務で苦しむ人を増やさない」という目的のもと、改正貸金業法が制定されました。
また、利用者の金利負担の軽減を図るために、一定の利率を超える利息を制限し、高利の取り締まりを目的とする「利息制限法」が制定されました。この法律の制定により、金利上限は年15%~20%と定められ、利用者の負担が軽くなったのです。
外部サイト 利息制限法とは(wikipedia)
ファクタリングと貸金業の違いとは?政府も奨励!?
ファクタリング とは、企業が保有している売掛金をファクタリング会社が買い取る資金調達方法です。売掛債権を譲渡することで、期日前に現金化が可能です。万が一、売掛先が倒産しても、支払いリスクを回避できるメリットもあります。
最近では、経済産業省をはじめとした日本政府の各省庁が積極的に利用を奨励し、注目を集めています。
融資と譲渡の違い
融資は「返さなければいけないお金」です。身近な言葉にいい換えれば「借金」です。一方、譲渡は「債権を第3者に売却する」ことです。設備の購入資金のような大金の調達を融資でまかなうことが多いですね。お金を貸す側から見た場合、得られるものは貸したお金に対する利息です。
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に売却することで資金調達をするので譲渡に該当します。譲渡のため利息を支払う必要はありません。
ファクタリングで発生するのは利息ではなく手数料
ファクタリングの手数料は20%を超える場合もあるため、高利息と間違えてしまいがちですが、利息の取り立てはありません。
ファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、それぞれで手数料が違います。
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングは、債権先の会社への債権譲渡通知をする必要がなく(債権譲渡禁止特約が無い債権に限る)、利用者が売掛金を売掛先から回収し、ファクタリング会社へ入金します。
2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が直接回収できないというリスクが大きい分、手数料は平均10%〜20%と高くなります。
参照 2社間ファクタリング
3社間ファクタリング
3社間ファクタリングは、ファクタリング会社が債権を譲渡会社から買い取り、それを債権の請求先となる会社へ通知して、直接ファクタリング会社に売掛先が売掛金を入金する方法です。
手数料は2社間ファクタリングに比べて平均1%〜5%と低くなっているのですが、売掛先にファクタリングを利用したことが通知されるという大きなデメリットがあります。
参照 3社間ファクタリング
ファクタリング手数料に利息は含まれていないというか「無い」
貸金業では当たり前についてくる利息もファクタリング業でついてくることはありません。ファクタリングは売掛債権の売却なので融資とは違うため、利息は不要なのです。しかし、手数料は決して安くはありません。手数料内訳は、
- 登記費用
- 印紙代
- ファクタリング会社の収益
この3つは固定費として請求されます。ファクタリングを利用して、手数料内訳に利息が記載されていたら、悪徳業者を疑い売却しないのが賢明です。
参照 ファクタリングの手数料
貸金業になる行為とは?
貸金業は貸金業法や利息制限法により、融資の条件や利息の上限が厳しく制限され、違反すれば厳罰に処せられます。
ファクタリングは、貸金業ではないので法律に抵触する心配はありません。しかし、悪徳業者の中には法律をかいくぐり利用者に多額の手数料を請求するケースが後を絶ちません。
貸金業には資格が必要である
貸金業には、「貸金業務取扱主任者」という資格があります。この資格は、国家資格で、貸金業務取扱主任者の資格は、2010年6月17日まで研修で取得可能な民間資格でした。
しかし、同年2010年6月18日から、貸金業法4条が施行される事によって終了となり、新しく国家資格の制度と変わりました。
この資格保有者を1名選ぶことが法律で義務付けられています。「貸金業務に従事する者の中で50人に1人以上の配置が義務付けられている他、その貸金業者の事務所や、営業所1つ1つに必ず設置する」ことが原則とされているのです。
ファクタリングには資格が不要
ファクタリングは、近年、日本でも注目を集めている資金調達方法です。一見、金融業のように見受けられますが、その形態はあくまでも売掛債権の譲渡です。まだ日本での歴史の浅いファクタリングは、日本の既存の金融法で整備されていません。
そのため、現段階でファクタリングが縛りを受けるのは、 債権譲渡に関わる法律のみです。したがって、ファクタリング業者に必要な免許も現時点では存在しません。
ファクタリングを規制する法律はない現状
ファクタリングを直接取り締まるような法律は現時点では存在しません。ファクタリング業に特別な免許も必要ありません。今まで貸金業法登録違反や利息制限法などで金融関係から撤退した業者が、ファクタリング業に鞍替えするケースも少なくありません。
現状では免許登録の必要がなくても、ファクタリングの今後の普及やトラブル防止を考えると、ファクタリングに対する規制法の整備が必須です。ファクタリング業界で法整備されれば、悪徳業者の横行や高額な手数料請求も激減するはずです。ファクタリングという資金調達方法が安全かつ当たり前となる日は、すぐそこまで来ているのです。