卸売・小売業において「モノが売れない」よりも「売れるモノが無い」方が致命的です。特に小売業は情報のアンテナを常に張っておかないと、せっかくのセールスチャンスを逃すことにも繋がります。売れ筋商品、流行しそうな商品が市場にあったとしても、手元に資金が無ければ仕入れることもできません。
ファクタリングは売掛債権を売却して資金調達する方法です。卸売・小売業では商品の仕入れには売掛払いが多く使われています。売掛債権を資金化できれば、売れるはずの商品の仕入れも可能になり、チャンスロスを防げるのです。
卸売・小売業のファクタリング活用術
卸売・小売業が、どのような状況でファクタリングを利用すれば良いのかを個別にまとめていきます。他業種では「つなぎ資金」が主要な活用方法です。卸売・小売業とは活用方法が若干異なります。
仕入れ額の変動対策
卸売・小売業は仕入れ額によって利益率が変わります。特に外国製品は為替などの影響もあり、仕入れのタイミング次第では大きく利益を目減りさせてしまうケースも。
仕入れコストの急激な上昇は事業そのものに大きな影響を与えてしまいます。ファクタリングを活用して売れ筋商品をいち早く仕入れさせれば、コストアップによる減益分をペイできるのです。
人気商品・注目商品の仕入れ
テレビやインターネットなどで「売れる」商品は情報が命です。特に自社で扱っている商品に関しては、色々なメディアにアンテナを張っておかなくてはなりません。
ブームが始まる前に仕入れられる資金があれば、ブーム開始と同時に売上もアップできます。ファクタリングを活用して、流行というビジネスチャンスの波に乗り遅れないようにしてください。
インターネット事業の開始資金
路面店での販売が下火になりつつある近年では「老舗」と呼ばれている小売店でもインターネット部門を多く立ち上げています。しかし、インターネットによる販売は何かとコストがかかります。Webデザインはもちろん、Webページの文言にすらコストがかかるのです。
テレビCMなどは多くのコストが発生しますし、費用対効果があまり上がらない可能性もあります。インターネットを使った販路拡大は、今後更に増えていくはずです。競合店に負けないように、ファクタリングで新規事業資金を捻出して早め早めの対策を講じておきましょう。
クーリングオフによる返金と売上減
自動車のリコールや食中毒、異物混入など、せっかく仕入れをした商品が回収騒ぎになるのは卸売・小売業にとって大きなダメージです。返金するための資金がメーカーから保証されるまでに時間がかかる場合もあります。
風評被害によって店舗全体の売上減にも繋がる可能性が高いです。こうしたピンチにはファクタリングを活用して迅速な対応を行ってください。問い合わせをしてきたお客様は、店舗の対応によって来店頻度が上下します。
ピンチをチャンスに変えるためにも、万が一の場合の金策としてファクタリングを選択肢に入れておきましょう。
新規商品の開発費用
卸売・小売業でも自社製品を開発して利益につなげている所は多いです。スーパーマーケットを運営する大手小売業でも、品質の良いオリジナルブランドはメーカー品よりも利益率が高くなります。
大手ではなくとも、オリジナルブランド商品の開発は重要なビジネスチャンスです。しかし、資金が捻出できなくては開発すらできません。新しい戦略としての商品開発資金の調達にはファクタリングが有効です。
融資や手形割引の活用はリスクが高い
ファクタリング以外の金策では銀行融資や手形割引などが挙げられます。あたりまえのように利用してきた金策も、時代の変化に合わせて見直さなければいけません。これまでは問題の無かった金策が、逆にリスクになる可能性もあるのです。
改めて、銀行融資や手形割引のメリットとデメリットを確認しておきましょう。ファクタリングのメリットとデメリットを踏まえて比較していきます。
融資のメリットとデメリット
融資のメリットは高額な資金を調達できる点です。数千万円~数億円規模の融資を受けることも可能です。デメリットは審査が厳しく、資金調達までに時間がかかることが挙げられます。
銀行融資は、申込企業の財務状況が重要です。返済不能になってしまうと、銀行の調査不足と指摘されてしまいます。時間をかけて精査され、ようやく資金調達された頃にはビジネスチャンスを逃してしまうのです。
また、融資は「借金」です。毎月の返済に利子をつけて返済しなくてはなりません。売れ筋商品が売れなくなってしまうと、会社に残るのは売れない在庫と借金という大きな負債が残るのです。スピーディーな仕掛けには銀行融資は向かないということを覚えておきましょう。
手形割引のメリットとデメリット
手形割引は手形さえあれば即時資金調達が可能な金策です。借金にもなりませんし、支払い期日にきちんと入金されれば全く問題ありません。
しかし、手形割引のデメリットとして「原則として償還請求権有り」が挙げられます。万が一手形が不渡りになってしまうと、資金提供を受けた企業は全額返還しなくてはならないのです。資金繰りが芳しくない企業にとっては、経営が傾く直接的な原因にもなりかねません。
借金というリスクはありませんが、不渡り時の連鎖倒産という最悪のリスクを抱えているのです。
ファクタリングのメリットとデメリット
ファクタリングは売掛債権を資金化できる資金調達方法です。資金化までのスピードが早く、償還請求権も無いため、不渡りリスクも抱えません。
デメリットは手数料%が法律で定められていない点です。取引方法やファクタリング会社によっても手数料%は異なりますが、相場として5%~30%で取引されています。後程解説しますが、利益率からファクタリング手数料分の%がそのまま差し引かれてしまうのは、ファクタリングのデメリットといえます。
卸売・小売業には運転資金としてのファクタリングはオススメできません
ファクタリングは支払期日前に資金調達ができるという特性上、売掛金が入金されるまでの「つなぎ資金」で利用されることが多いです。先ほどの活用方法では、つなぎ資金ではなく「新規事業」や「仕入れ」に加え「万が一の返品・返金」などスポット的な使い方をオススメしました。これには、卸売・小売業特有の仕組みとファクタリングの相性が関係しているのです。
卸売・小売業は「原価率」がネック
卸売・小売業は仕入れにかかるコスト「原価率」がネックになります。例えば、原価率70%の商品で利益率が30%の場合、ファクタリングにかかる手数料が15%だとすると、利益は半分の15%になってしまいます。
原価率が高くなればなるほど、ファクタリング手数料が負担となってしまい、利益率が目減りしてしまうのです。他業種であれば、資金繰りの改善のために継続したファクタリング利用をオススメできます。ですが、卸売・小売業の場合は継続利用で利益そのものが減ってしまい、会社として立ち行かなくなる可能性もあるのです。
卸売・小売業のファクタリング会社の選び方
では、卸売・小売業はどのようなファクタリング会社を選べば良いのでしょうか。基本的な基準は次の4つです。
- 資金調達までのスピード
- 手数料などが明記してある
- 卸売・小売業との取引経験数の多さ
- 信頼性が高い会社
資金調達までのスピード
資金調達を申し込んで入金されるまでのスピードです。スピードは取引方法とファクタリング会社によって異なります。最短で即日の資金調達が可能な会社もあれば、申し込んでから1週間前後で入金される会社もあります。
もちろん、申込をする側がきちんと必要書類を全て揃えていることが条件ではありますが、口コミやファクタリング会社に問い合わせるなどして、どれぐらいのスピードで資金化できるのかを事前に聞いておきましょう。
手数料などが明記してある
多くのファクタリング会社は手数料を「〇%~」というように上限を定めていません。上限を定めていないからNGという訳ではありませんが、原価率が為替の影響などで変動する卸売・小売業にとって、上限を明記している方が資金計画を立てやすくなります。
〇%~△%と上限の手数料%を明記してあるファクタリング会社を選択候補上位に挙げておくべきでしょう。
卸売・小売業との取引経験数の多さ
ファクタリング会社は日本全国に100社以上あります。しかし、全てのファクタリング会社が卸売・小売業の取引経験方法な訳ではありません。場合によっては資金調達までの時間が掛かってしまったり、手数料が高くなってしまうこともあるのです。
口コミなどを確認した上で、卸売・小売業との取引経験が多い会社を選ぶようにしましょう。
信頼性が高い会社
認知度が徐々に上がってきたファクタリングですが、まだまだ一般的な金融工学とは言えません。怪しい金融サービスというイメージがあるのも事実です。そうしたネガティブなイメージが払拭されないのは、ファクタリング会社の中に悪質な違法業者が含まれているからです。
中には闇金融業者がファクタリング会社に紛れているケースもあります。銀行系のファクタリング会社や株式上場している会社など、信頼できる会社を選びましょう。また、万が一の場合に備えて、顧問弁護士や司法書士との連携も視野に入れてください。
ファクタリングを活用してピンチをチャンスに!
卸売・小売業のビジネス戦略にはファクタリングの活用をオススメします。事実、ZOZOやユニクロ、トヨタでさえもファクタリング経費を決算に計上しています。卸売・小売業こそ、ファクタリングを戦略的に活用できる業界なのです。