ファクタリング後の流れは取引方法で異なる 取引後は債権譲渡登記記録の抹消が必須!

ファクタリング後の流れは取引方法で異なる 取引後は債権譲渡登記記録の抹消が必須!ファクタリングの基礎情報

ファクタリングで資金調達後の流れは取引方法によって異なります。2社間の場合は取引先から入金された売掛金を全額そのままファクタリング会社へ送金します。3社間は支払い期日に取引先からファクタリング会社へ直接送金される流れが一般的です。

一見シンプルなお金の流れですが、お金のやり取り後には「債権譲渡登記記録の抹消」が必要です。もし手続きを怠ってしまうと二重譲渡になってしまいます。

取引方法別ファクタリング後の流れ

ファクタリングの主な取引方法は「2社間取引」と「3社間取引」です。それぞれのファクタリング後の流れを見ていきます。

2社間

2社間取引の場合のファクタリング後の流れです。

  1. 売掛先からファクタリング利用者(売掛元)へ入金
  2. 利用者からファクタリング会社へ全額入金

いったん売掛元に売上金として入金された金額を、そのまま全額ファクタリング会社へ送金します。

3社間

3社間取引の場合のファクタリング後の流れです。

1.取引先からファクタリング会社へ売掛金を送金

3社間の場合、資金調達後は、手数料を差し引いた分の留保金が利用者へ入金されます。売掛金の回収業務が発生しないのが特徴です。

手数料の支払いタイミングと留保金の戻るタイミング

売掛債権を資金化する際、利用者に入金されるのは「掛け目」分の金額です。掛け目とは、売掛債権の担保割合のことで、債権総額の70%〜90%の金額が入金されます。

手数料とは、ファクタリング会社の取り分です。ファクタリング会社は慈善事業ではありません、売上として手数料を支払わなくてはならないのです。

手数料の支払いタイミング

手数料の支払いタイミングは、売掛金をファクタリング会社へ入金し、掛け目の残り分である留保金がファクタリング会社から戻ってくる際に、その留保金から差し引かれます。

勘違いしやすいのが、ファクタリングで資金調達した段階で手数料を差し引かれて入金されるわけではないということです。

ただし、ファクタリング会社によって手数料の支払いタイミングが異なる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

掛け目残金=留保金が戻るタイミング

掛け目とは、債権の担保割合のことです。債権額が100万円で、掛け目が70%であれば、ファクタリング申し込み時に利用者へ70万円が入金されます。残りの30万円はファクタリング会社の留保金として保管されます。

売掛金が取引先から支払われた段階で、留保金の30万円からファクタリング手数料や事務雑費(登記費用や手続きの経費、出張面談時の交通費など)が差し引かれた金額が入金されるのです。

しかし、万が一取引先が倒産してしまった場合、留保金が戻ってきません。担保扱いであるため、債権額の回収ができなくなると、留保金がファクタリング会社の取り分になるのです。

参照⇒債権譲渡登記

ファクタリング終了後は債権譲渡登記記録の抹消必須

ほとんどのファクタリングでは債権譲渡登記を求められます。登記とは、形のない有価証券の持ち主が誰かという証明で、届け出先は「法務局」です。

この債権譲渡登記をファクタリング契約終了後(留保金の戻りを受け取った時点)に行わないと、別のファクタリング会社で取引する際に思わぬトラブルになるためです。

ファクタリング会社の契約内容にもよりますが、基本的な契約内容の中で「利用者の売掛債権すべてに対して5年ないし10年の譲渡登記を設定する」ケースが少なくありません。

ファクタリング会社としては、債権の二重譲渡への防御策として設定している場合が多いです。しかし、利用者はファクタリング会社を比較して乗り換える権利があります。

債権譲渡の抹消を行わないと、ファクタリング会社の乗り換えをした際にトラブルになる可能性があるのです。

債権譲渡登記を抹消しない場合に起こること

債権譲渡登記抹消を忘れて、別のファクタリング会社で債権を売却すると「譲渡登記の劣後」が起こってしまいます。登記の優先順位は「後で登記をしたもの」が上です。

抹消せずに別の業者でファクタリングを行った場合、登記の優先順位が上書きされてしまう「債権登記の劣後」が発生することになります。過去のファクタリングで債権ではなく、利用者の登記行動すべてに制約がかかっているため、犯罪行為にあたる「債権の二重譲渡」が起こってしまうのです。

二重譲渡は詐欺罪にあたる

二重譲渡とは、物や権利を他者(第一譲受人)に譲渡し、同じ物や権利を他者(第二譲受人)へも譲渡する関係のことです。民法上は登記の劣後などで優劣関係が発生しますが、刑法ではれっきとした犯罪になります。

  • 横領罪
    または
  • 背任罪

過去の判例を遡ると、譲渡人に関しては「委託物横領罪」が成立しています。また、抵当権の二重設定では背任罪が適用されています。

横領罪は単純横領罪で5年以下の懲役、業務上横領罪で10年以下の懲役です。背任罪は5年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です。自社の資金繰りで、ただ単に登記抹消を忘れただけで成立してしまう「二重譲渡」は、ファクタリング利用者にとって絶対に忘れてはいけない手続きなのです。

参照⇒二重譲渡

ファクタリング後の流れを把握して適切な処理をしよう

ファクタリング後の流れの中で最も重要なのは

  • 取引先から入金された売掛金をファクタリング会社へ送金する
  • ファクタリングのすべての工程終了後に債権譲渡登記の抹消を行う

この2つです。両方とも故意に入金しなかったり、手続きを忘れると犯罪行為になる可能性が高いことを忘れてはいけません。効率的に資金調達を行うためにも、ファクタリング後の流れはしっかりと頭に入れておいてください。

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