期日前の売掛金を買い取り、早急に資金化する金融工学「ファクタリング」。このファクタリングを生業としている会社をファクタリング会社といいます。融資とは違い、自社が保有する債権を売却して無借金で資金調達ができるファクタリングは、経済産業省も推奨している金策の1つです。
最近では、インターネットで検索すると100社以上のファクタリング会社がヒットします。しかし、その中から自社に合う会社を見つけるのは至難の業です。
今回は、ファクタリング会社選びの基準や手数料をなるべく抑えてファクタリングする場合の注意点について解説していきます。
ファクタリングの種類とは?
一般的に企業の資金調達で利用されるファクタリングは、「一括ファクタリング」です。この一括ファクタリングを行なっているファクタリング会社の種類は、大きく分けて3つのグループに分けられます。
それぞれの特徴を理解しておくことが、自社に合った最適なファクタリング会社を選ぶ重要なポイントです。
ファクタリング会社は3つのグループから成立している
ファクタリング会社は大きく3つのグループに分けることができます。
- 銀行系ファクタリング会社
- ノンバンク系ファクタリング会社
- 独立系ファクタリング会社
それぞれのファクタリング会社の特徴を理解しておけば、自社に合うファクタリングで資金調達が可能です。
銀行系ファクタリング
銀行系ファクタリングとは、メガバンクが100%出資している子会社のファクタリング会社です。メガバンクが母体なので、ネームバリューの高さや信頼度は最も高いです。他の2タイプと異なり審査されるのは、売掛先と売掛元の両方が対象というデメリットがあります。メリットは手数料の安さです。3社間ファクタリングのみの取引ということもあり手数料が安く済みます。
ノンバンク系ファクタリング
ノンバンク系ファクタリング会社は、銀行以外の企業グループなどが経営するファクタリング会社です。お金を扱う事業や通信事業や物流など、親会社の事業はさまざまです。親会社の財務基盤が、しっかりしているので、高額な債権買取りも可能です。一部上場企業などが母体の場合は、会社としての信頼度も高いのが特徴です。
独立系ファクタリング
銀行系、ノンバンク系のどちらにも属さないファクタリング会社を独立系ファクタリング会社といいます。小口の資金調達も可能で、中には5万円以上からファクタリングOKな会社もあります。スピーディーな資金調達をモットーにしている会社も多く、申し込みから入金まで最短で1日で完了させることも可能です。
ファクタリング方法の違い
一般的に認知されている一括ファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2種類があります。
2社間ファクタリングとは、ファクタリング会社と利用者の2社で取引されるファクタリングの方法です。売掛先にファクタリングをしたことの通知する義務がない場合が多く、売掛債権を第三者に売却したことを売掛先に知られずにすみます。2社間での取引は貸倒れのリスクなども高いため、手数料が平均10%〜30%と高めの設定になっていることも特徴です。
参照 2社間ファクタリング
3社間ファクタリングとは、ファクタリングする際、売掛先と売掛元、そして債権を買い取るファクタリング会社の3社間で行なわれるファクタリング取引です。売掛先の承諾が必要で、期日前に資金調達することが発覚してしまうため、売掛先との信用問題に関わる恐れがあります。しかし、2社間に比べて貸倒れリスクが低いことから、手数料が平均5%〜10%とかなり安く設定されています。
参照 3社間ファクタリング
3社間ファクタリングのメリットとデメリットとは?
売掛元と売掛先にファクタリング会社を加えた3社で行なわれるのが3社間ファクタリングです。
3社間ファクタリングは2社間ファクタリングに比べ信用性のあるファクタリング方法です。3社間ファクタリングにはいくつかのリット、デメリットが挙げられます。
3社間ファクタリングのメリット
3社間ファクタリングのメリットには、
- 手数料の低さ
- 利用者に回収義務が発生しない
の2つが挙げられます。
手数料の低さ
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは手数料に差があります。3社間ファクタリングでは、売掛先にファクタリングすることを通知し承諾を得るのが前提です。売掛金は売掛先からファクタリング会社の口座に直接入金されます。
ファクタリング会社が売掛先に直接支払いの請求(確認)ができるため、貸倒れのリスクが低く、売掛先の同意の必要がない2社間ファクタリングに比べて手数料が低く抑えることが可能です。
参照 ファクタリングの手数料
利用者に回収義務が発生しない
3社間ファクタリングの売掛金は、売掛先からファクタリング会社の口座に直接振り込まれます。売掛元(利用者)は、代金の回収業務や売掛金の管理をする必要がありません。手間をかけることなく早期の財務改善を図ることができます。
3社間ファクタリングのデメリット
3社間ファクタリングのデメリットは以下です。
- 入金のスピードが遅い
- 中小企業の利用はハードルが高い
入金のスピードが遅い
3社間ファクタリングは入金までのスピードが、2社間ファクタリングに比べて長くなりがちです。場合によっては申し込みから入金まで半月~1ヶ月程度かかる場合もあります。売掛先にファクタリングの交渉と契約のテーブルについてもらう必要があるため、売掛先とのタイミングによっては長くかかる場合があるのです。
もしファクタリングを利用する理由が、資金調達までのスピードということであれば、金融機関の融資も視野に入れた方がよいでしょう。
中小企業の利用はハードルが高い
銀行系ファクタリング会社が行なう3社間ファクタリングは、母体が銀行ということもあり審査は融資と変わらないほど厳しいです。売掛先だけではなく、売掛元の財務状況も審査の対象になります。財務基盤の弱さや経営規模の問題から中小企業にとっては、銀行系ファクタリング会社の3社間ファクタリングは、利用までのハードルが非常に高くなっています。
3社間ファクタリングで手数料を抑えて資金調達をするには?
2社間ファクタリングに比べてハードルが高いという理由から、3社間ファクタリングを諦めてしまう利用者もいます。しかし、手数料の安さに特化した3社間ファクタリングは、利用者にとってありがたい資金調達の方法です。
3社間ファクタリングは個人事業主でも利用できる場合がある
3社間ファクタリングは、個人事業主でも利用できる場合があります。2社間ファクタリングの場合は、「債権譲渡登記」の手続きをしなければ売却できないため、個人事業主は2社間ファクタリングでの資金調達は不可能です。
しかし、3社間ファクタリングであれば、支払企業の同意が必要です。「債権譲渡登記」は売掛先とファクタリング業者で結ばれるため個人事業主でもファクタリング取引が可能です。
参照 債権譲渡登記とは
3社間ファクタリングは大手独立系ファクタリング会社でも利用できる
3社間ファクタリングは銀行系ファクタリング会社だけの特権ではありません。独立系ファクタリング会社でも利用することができます。独立系ファクタリング会社は基本的に2社間ファクタリングを推奨しています。
しかしファクタリングの利用数に比例して、3社間取引を推奨するファクタリング会社も増加傾向にあります。
ファクタリング会社の選び方で手数料を抑えた資金調達を
複数のファクタリング会社同士で相見積もりをとるなどして、最も手数料の安い会社に依頼することが最善の資金調達に繋がります。
ファクタリングを利用する際には、自社のキャッシュフローを把握し、手数料を少しでも抑え、今後の財務計画をしっかりと立てるようにしてくださいね。