売掛債権を資金化する金融工学「ファクタリング」は、融資と違い不正が起こりにくいというイメージがありました。しかし、実際にファクタリングを悪用した犯罪行為が行われていました。企業の売掛債権を食いものにする悪質なファクタリング業者の犯罪行為。今回は、過去にあった事例を元に、ファクタリング業者の犯罪に巻き込まれないための注意点を解説していきます。

ファクタリング業者の犯罪とは?

ファクタリング業者の犯罪とは、主に詐欺罪などが該当します。それ以外にも恐喝罪なども起こる可能性があるのです。ではどうしてそのような犯罪が起こり得るのでしょうか?

ファクタリングを隠れ蓑にした闇金業者

犯罪に手を染めるファクタリング業者が存在するのは、過去に同じような手口(犯罪行為)で味をしめたためです。ファクタリング業者の中でも犯罪行為もしくは、犯罪行為スレスレの対応をしている業者は、前身が「闇金業者」であるケースが非常に多いです。

貸金業法の改正により、悪質な闇金業者の多くが摘発されました。闇金業者は徐々に少なくなりましたが、携わっていた人たちは未だに根強く経済界に潜んでいるのです。闇金業者の特徴として、金融商品の知識がかなり高いということが挙げられます。

法の抜け穴を知るためには、法に詳しくなくてはなりません。そうして得た金融知識を悪用して、闇金業からファクタリング業に鞍替えしているのが、犯罪ファクタリングが蔓延する理由の1つでもあるのです。

2017年ファクタリング業界初の逮捕事例が発生

2017年にファクタリング業界では初となる逮捕事例が発生しました。逮捕容疑は貸金業法違反と、出資法違反の疑いです。経営者を含む男8人が逮捕されました。ファクタリング会社として運営していましたが、実際は闇金と同じように、違法な金利で貸し付けを行なっていたようです。

容疑の内容は、貸金業登録を行なっていない中、2016年5月から8月にかけて、堺市と三重県鈴鹿市の会社経営者2人に、40万円から50万円の貸し付けを行なった疑いです。他にも250社に対して1億円以上の貸し付けを行なったという疑いもかけられています。

逮捕された容疑者は、2003年7月にも闇金融の運営で、法定利息の50倍となる利息を搾取し、逮捕された前科がありました。このことから、闇金業者からファクタリング業者に鞍替えしたことが白日の元にさらされたのです。

他にも2017年5月に「償還請求権なしのファクタリング」と明記していたホームページを持つ会社の経営者が逮捕されました。ファクタリングを装っておき、実際には貸付に近い金融商品を提供していたと考えられています。

なぜファクタリングで犯罪が起こるのか?

どうしてファクタリングで犯罪が起こってしまうのでしょうか?それには大きな2つの理由があったのです。

法的整備が不十分

ファクタリングの手数料などは、法律で決められていません。融資などは2007年の貸金業法改正によって、上限値が法律で決められましたが、ファクタリングに関しては行政も手付かずの状態のままなのです。そのため、ファクタリング業者が決めている手数料に関しては、全て「相場」での数字と、ファクタリング業者側の利益率で決められています。

手数料に法的拘束力が無いため、法外な手数料という概念が存在しなく(そもそも法律自体が無い)、悪質なファクタリング会社は、超高額の手数料を提示しても罰せられることが無いのです。

利用者の知識不足

ファクタリングという金策自体、それほど認知度が高い手法ではありません。そのため、利用者側もファクタリング取引自体の仕組みをあまり知らないという落とし穴があります。ファクタリングの知識があまりない状態で、ファクタリングを申し込んだ場合、初めて契約した業者が犯罪グループだったらどうでしょうか?

その間違ったファクタリングを正しいファクタリングと信じこんでしまい、抜け出すこと自体が難しくなってしまいます。ファクタリング業者から「他の業者も同じような手数料ですよ」と言われて、その言葉を鵜呑みにしてしまい、相場以上の手数料を搾取されてしまうことにも繋がってしまうのです。

こんなファクタリング業者には要注意!

一目見て、ファクタリング業者が犯罪行為をしていると見抜くのは不可能です。色々な情報から、ファクタリング業者が本当にきちんとした業者であるかをチェックしなくてはなりません。ここでは、ファクタリング業者の犯罪行為に巻き込まれないために、どのようなことに注意すればよいかについて解説していきます。

手数料がかなり低く契約後に高額になる

まず、申込の段階で手数料が高額な業者には、誰も見向きもしません。犯罪行為をするファクタリング業者は、甘い誘惑で利用者を誘い出して、一気に襲い掛かるのが常套手段です。

ホームページ上などで「2社間ファクタリングの手数料は業界最安値の1%!」などと銘打っている場合には要注意です。2社間ファクタリングは、貸し倒れのリスクが高いファクタリング手法です。そんなリスクが高いファクタリングに手数料1%では、リスクの割に合わないだけではなく、ファクタリング会社の取り分自体、ほぼ無いということです。

もちろん実際に1%で契約をするはずがありません。契約の段階で、売掛先に問題があったなどの理由を持ちだして、かなり高い手数料でのファクタリング契約を持ちかけられます。しかも、今契約しないと、ファクタリング見積もり料など余計な費用もかさみますなどと、脅迫まがいのことを言われる可能性もあります。

タダより高いものはないということわざ通り、手数料1%より高い手数料はないのです。

本社事務所などがマンションの一室

まれに見られるのが、立派なホームページの割に、本社はマンションの一室だったというケースです。ホームページが見やすく、洗練されたデザインだったとしても、それを鵜呑みにすることはオススメしません。極端に言えば、ホームページは4畳半のボロアパートの一室であっても作ることが可能なのです。

先ほど紹介した逮捕事例の容疑者は、マンションの一室を本社住所に設定し、悪質な行為を繰り返していました。また、このマンションの一室を本社事務所に設定するのは、闇金業者に多く見られる手口です。万が一警察の捜査が及んだ時に、すぐに逃走できるような状態を作っているのです。

同じような条件の違う名前の会社を経営している

これも闇金業者に多い手口です。経営者の名前を変えてはいますが、実際には闇金業者の元締めが経営の全権を掌握している状態です。ホームページに掲載されている経営者名は、あくまでも警察の捜査が及んだ際に、トカゲの尻尾切りのようにして逃走するための予防策でしかありません。

複数のファクタリング会社をたらい回しにされるようであれば、犯罪グループの可能性がかなり高くなります。

ファクタリング業者の犯罪に巻き込まれないために

ファクタリング業者の犯罪行為に巻き込まれないようにするためには、ファクタリング業者が悪質な業者であるかの判断する力と、ファクタリングの知識を向上させることが必要不可欠です。

売掛債権は、融資と違って借金にはならない金策ではありますが、融資と同程度の金額を扱います。犯罪に巻き込まれて、巨額の損失を起こさないようにするためには、自分たちのセルフディフェンスがもっとも重要なのです。