ファクタリングと募集株式を使い分けて効率的な資金運用を行う方法

ファクタリングと募集株式は、両方とも株式会社が実施できる「資金調達方法」です。2つの最大の違いは「資金調達までのスピード」と「支払うべき手数料」が挙げられます。

売掛債権をファクタリング会社に売却譲渡するファクタリングでは、最速で申し込んだ当日の調達が可能です。しかし、募集株式は株主総会決議など多くの手続きが必要となり、資金を調達できるのは最低でも1ヶ月程度掛かってしまいます。

ファクタリングの手数料は取引方法やファクタリング会社によっても異なりますが、債権総額の5%~30%程度をファクタリング会社に支払わなくてはいけません。対して募集株式は手数料がほとんど発生しません。

ファクタリングVS募集株式と対立的な構図で解説をしているサイトが多いです。しかし、経営者にとってはどちらにもメリットがあり、どちらにもデメリットがあることはほとんど明記されていません。

ファクタリングと募集株式を使い分けて、資金調達と利益確保の両方ができるのです。

ファクタリングと募集株式のメリットとデメリットを把握する

ファクタリングと募集株式の両方に共通しているのは「運営のための資金調達方法」であることです。仕組みや資金化に必要なモノは異なりますが、ゴールは同じ。そのゴールを最大化させるのが「使い分け」です。

使い分けをするためには、ファクタリングと募集株式双方のメリットやデメリットを把握しなければいけません。自社の状況でネガティブ要素となるデメリットを極力受けないようにする。利益を最大化させるメリットを享受する。まずは、双方のメリットとデメリットを把握しておきましょう。

ファクタリングのメリット

ファクタリングのメリットは

  • 資金調達までのスピードが早い
  • 将来的な借金にならない
  • 不渡りリスクごと売却譲渡できる
  • 信用情報に影響しない

などが挙げられます。

資金調達までのスピードが早い

ファクタリング申込をした当日には資金調達が可能な会社もあります。2社間取引と3社間取引がありますが、スピードが早いのは「2社間取引」です。売掛債権と取引先の審査のみ行われ、審査通過後は申込者とファクタリング会社間での契約が行われます。

2社間に取引先を含めた取引が3社間取引です。取引先の承認や契約書へのサインなどの手間が掛かるため、取引先の都合次第では2社間に比べて時間が掛かってしまいます。

つなぎ資金などで、一刻も早く資金を調達したいのであればファクタリングが有効です。

不渡りリスクごと売却譲渡できる

売掛債権は取引先の経営状況次第で不渡りになる可能性を秘めています。ファクタリングはそうした不渡りリスクごと売却譲渡できるのです。高額であればあるほど、経営に関わるリスクは高くなりますが、ファクタリングで安全な資金繰りが可能になります。

もう1つが「償還請求権」の有無です。ファクタリングは基本的に償還請求権無しの契約がほとんど。償還請求権とは、取引先(売掛先)が破産した場合、ファクタリングで得た資金の返済通知を出せる権利です。

償還請求権が無い契約では、万が一取引先が倒産して債権回収ができなくても、元々の持ち主に請求されることはありません。ファクタリングのメリットとして「償還請求権無し」も覚えておきましょう。

信用情報に影響しない

ファクタリングは融資ではありません。融資だと、万が一返済遅延などが起こった場合、法人が持つ信用情報に傷がついてしまいます。ファクタリングは、債権の売却益が調達元の資金になるため、利用しても信用情報に影響しないのです。

ファクタリングのデメリット

ファクタリングのデメリットは主に

  • 手数料が発生する
  • 債権譲渡禁止特約付きの債権をファクタリングする場合、登記が必須となる

などが挙げられます。

手数料が発生する

ファクタリングは融資ではないため、利息などは発生しません。しかし、債権を買い取ってくれるファクタリング会社はボランティアではないため、売上となる「手数料」が発生します。

2社間と3社間で相場が異なります。

  • 2社間…10%~30%
  • 3社間…5%~15%

少額債権であれば、それほど大きな金額になりませんが、それでも利益が手数料%分目減りすることに変わりません。目標とする資金額に到達しない場合は、貴重な売掛債権を複数ファクタリングしなければいけません。

毎月の返済はありませんが、資金化する場合は手数料の金額を考慮した上で申込を行ってください。

債権譲渡禁止特約付きの債権をファクタリングする場合、登記が必須となる

債権譲渡禁止特約とは、特に大企業が取引先の場合に交わされる売掛取引に付帯しています。売掛債権を反社会的勢力に渡らないようにするための防衛策ではあるものの、ABLなどの債権を使った金策に使えないため、2020年4月施行の改正債権法にて特約効果の無効が明記されました。

しかし、取引先保護の観点から、債権譲渡を行う際には債権譲渡登記など、譲渡を取引先への通知が義務化されたのです。今までの2社間ファクタリングでは、取引先に内緒で債権を売却できることがメリットでした。

債権法の改正によって「対抗要件」の一文が明記され、2社間ファクタリングによる「秘密裏の資金調達」ができなくなったのです。債権売却をした事実が取引先に知られてしまうと、資金難であると悪いイメージを持たれてしまうことに繋がります。結果的に取引縮小や取引解消になってしまう可能性もあるのです。

募集株式のメリット

募集株式のメリットは

  • 手数料が掛からない
  • 高額な資金調達に対応している

の2点が挙げられます。

手数料が掛からない

募集株式は融資や売掛債権のような金策ではなく、株式を増やすことで資金を調達する方法です。手続きは複雑ですが、利息や手数料といった経費が発生しないのが特徴です。

ただし、株式であるため利益が出た段階で配当金が発生します。単純に資金調達という手段では括られますが、株主に対しての責任が更に重くなります。

高額な資金調達に対応している

ファクタリングでは売掛債権の額面以下しか資金調達ができません。募集株式は必要資金分の株式を発行できるため、高額な資金調達にも対応しています。

募集株式のデメリット

募集株式のデメリットは

  • 手続きが複雑
  • 資金化まで1ヶ月以上かかる場合もある

などがあります。

手続きが複雑

募集株式で資金調達を行うためには「株主総会決議」や「引受人の募集」など様々な手続きを踏まなくては実行できません。資金が無いから募集株式で資金を手っ取り早く集めたい!ということはできないのです。

資金化まで1ヶ月以上かかる場合もある

全て順調に進んだとしても、最低で1ヶ月以上が掛かります。つなぎ資金や経費支払いなどには向かない資金調達方法といえます。

ファクタリングと募集株式を使い分ける上での注意点

ファクタリングと募集株式を使い分けて資金繰りを改善させる場合、いくつかの注意点にきをつけなくてはいけません。もし、無計画に資金調達を行ってしまうと、会社が倒産する可能性もあるのです。

資金の使い道を明確にする

メリットデメリットでも触れましたが、ファクタリングと募集株式は「資金化までのスピード」が異なります。調達した資金の使い道を明確にしておくことで、効率的な経営ができます。

例えば、スピードが求められる「つなぎ資金」や「経費の支払い」はファクタリングを利用し、金額が求められる「投資」などでは募集株式を使うという、金策のメリットデメリットを踏まえた運用がオススメです。

逆に、使い道を考えずに資金調達を行ってしまうと、株主さんの利益を損なうだけではなく、議決権に必要な株式を売却されてしまう可能性もあります。無計画な資金繰りで会社が第三者の手に渡ることには十分気を付けてください。

帳簿管理をしっかり行う

当たり前のことですが、ファクタリングと募集株式では帳簿への記載方法も大きく異なります。付け焼刃の知識で帳簿管理を行うのではなく、税理士や司法書士といった専門家に話を聞きながら帳簿管理をきちんと行ってください。死に物狂いで資金調達をしたのに、帳簿管理を怠っていたせいで追徴課税になるような事態は避けましょう。

資金調達方法の選択肢を広げれば相乗効果が生まれる

株式会社の資金調達方法を幅広く持っておくことで、会社の財務状況を改善できる可能性が高くなります。それぞれのメリットやデメリットを把握して、適切なタイミングで適切な資金調達方法を選択すれば、運営資金と利益の両方を確保できます。

勝利の方程式を実施する前に、まずは資金調達方法のメリットやデメリットを把握しておくことを忘れないでください。

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