でんさいとファクタリングは比較対象じゃない?基本的な仕組みを覚えて効果的な資金調達をしよう

でんさいとファクタリングは比較対象じゃない?基本的な仕組みを覚えて効果的な資金調達をしよう ファクタリングを利用するときに知っておきたいこと

でんさいとは、株式会社全銀電子債権ネットワークという会社が扱う電子記録債権という「商品」を指します。売掛債権を第三者に売却譲渡して、資金調達を行うファクタリングは「資金調達の方法」です。

多くのファクタリング推奨サイトが「でんさいVSファクタリング」の構図で比較解説をしています。しかし、そもそも「でんさい」と「ファクタリング」は異なるステージにある金融工学なのです。

最近、でんさいとファクタリングを組み合わせた「でんさいファクタリング」というサービスが誕生しました。でんさいの基本を学び、それぞれの違いと、でんさいファクタリングの活用方法についても覚えておきましょう。

でんさいとはそもそも何なのか?

でんさいとはそもそも、株式会社全銀電子債権ネットワークという会社の金融商品です。日本円が日本銀行の金融商品であるように、1つの会社が発行している商品と考えてください。

これまでの金融債権といえば、日本円をはじめとした硬貨やお札(金券)のほか、純金や手形などの

「貴金属」や「紙」

をベースにしたモノが一般的でした。商売の仕組みにインターネットが取り入れられるようになり、これまで流通していた貴金属や紙ベースの金券が徐々に進化をしてきたのです。

電子記録債権

その名称の通り、債権を電子記録にした仕組みです。特に手形や売掛債権の問題点を克服しているのが特徴です。

手形の問題点

手形の問題点には次のような問題点があります。

  • 作成から交付、保管のためのコストが発生する
  • 紛失や盗難のリスクがある
  • 分割にして取引に使うえない

現金と同じ役割を持つ仕組みであるものの、使うためにはコストが発生します。また、紙ベースであるため、盗難や紛失のリスクも抱えています。現金のように必要分だけを使えないのです。

売掛債権の問題点

売掛債権には次のような問題点があります。

  • 架空債権・二重譲渡のリスクがある
  • 債権譲渡の対抗要件がある
  • 人的抗弁を対抗されるリスクがある

売掛債権を譲渡する・される際、その債権が架空のモノやすでに他者に譲渡が決まっていたというケースがあります。どちらも詐欺罪にあたります。債権を譲渡された側は、すぐに債権がニセモノであるorすでに誰かの所有物かどうかが分からないというリスクがあります。

参照⇒ 架空債権・二重譲渡について

 

民法466条「債権の譲渡性」が改正されますが、その新しい条文では「債権譲渡禁止特約は無効」と明記しています。しかし、債権が反社会的勢力などに渡ることを防止するため、対抗要件が存在します。

参照⇒ 債権法改正について

 

人的抗弁とは、手形抗弁の内、手形債務者が特定の請求者に対して、債務の履行を拒むために主張しうる抗弁のことです。人的抗弁は取引先との人的関係に基づきます。書面上で人的抗弁が発生することは分かりません。

手形であれば、この人的抗弁は切断されますが、売掛債権の場合は切断されないのです。そのため、債権の売却譲渡であるファクタリングでは、譲渡の事実を取引先に通知されない「2社間ファクタリング」が多く選択されているのです。

でんさいのメリット

でんさいのメリットは手形と売掛債権の問題点を補完していることです。

【手形の問題点】

  • 作成から交付、保管のためのコストが発生する⇒電子データのため、コストは0円
  • 紛失や盗難のリスクがある⇒記録機関のデータベースで保管される
  • 分割にして取引に使えない⇒分割が可能

【売掛債権の問題点】

  • 架空債権・二重譲渡のリスクがある⇒債権の存在や帰属(現在の権利保持者】を可視化できる
  • 債権譲渡の対抗要件がある⇒でんさいを利用した時点で存在や帰属が明確化するため、通知が不要(必ず通知される)
  • 人的抗弁を対抗されるリスクがある⇒原則、人的抗弁は切断される

全ての取引が記録機関のデータベースで行われたタイミングで効力が発生します。手形やファクタリングと違い、銀行や法務局の登記係まで行く必要が無いこともメリットです。

でんさいとファクタリングはまったく違う

でんさいは、売掛債権を電子化する仕組みのことです。売掛債権の売却譲渡を行うファクタリングとは仕組みの段階からまったく異なります。

つまり、でんさいVSファクタリングという構図ではないのです。

  • でんさいVS売掛債権
  • でんさいファクタリングVSファクタリング

これが、正しい関係性です。

でんさいファクタリングという新しいサービス

でんさいを使ったファクタリング「でんさいファクタリング」が登場しました。通常のファクタリングでは、紙ベースの売掛債権を使った債権売却譲渡が行われます。でんさいファクタリングでは、電子書類である「でんさい」を使います。

ただし、運用しているのは、銀行を親会社にしているファクタリング会社のみです。でんさいが利用できる銀行を親会社に持っていなくては、どれだけ大手といわれているファクタリング会社でも利用できません。

でんさいファクタリングのメリットとデメリット

でんさいファクタリングのメリットとデメリットとは何なのでしょうか。ここではメリットとデメリットを、通常のファクタリングと比較しながら解説していきます。

でんさいファクタリングのメリット

矢印の左側がでんさいファクタリングのメリットで、右側が通常のファクタリングとの比較です。

手数料が安いため継続利用しやすい⇒継続利用すると手数料負担が大きくなる

でんさいは利用申込時に審査が行われます。利用者の財務状況などが全て把握されているため、民間ファクタリング会社の利用者と比べて、信頼感が大きく違います。手数料も安いため、継続した利用も可能です。

財務状況を改善するには、1回限りのファクタリングでは不可能です。自社の財務状況が安定するまで利用したとしても、手数料による利益の目減りが少なくなるということです。自社資産を増やしつつ、安定した資金繰りを可能にします。

でんさいファクタリングのデメリット

矢印の左側がでんさいファクタリングのデメリットで、右側が通常のファクタリングとの比較です。

取引先がでんさいに登録していなければ利用できない⇒取引先企業の財務状況や売掛債権の信頼性が確保できれば誰相手でも利用できる

当たり前ですが、取引先がでんさいに登録していなければ、でんさいファクタリングを利用できません。トンネルの1方向に入口があるのに、出口が無い状態と同じことです。でんさいに登録できる取引先であれば問題ありませんが、登録していない、できない取引先は利用できないのです。

取引先に債権譲渡の事実が知られる⇒2社間ファクタリングでは債権譲渡通知が不要なので知られる可能性が低い

電子記録債権は、譲渡などの動きがあった場合、可視化されるため取引先にファクタリングをした事実がばれてしまいます。秘密裏に資金調達するのには向いていません。

利用できるファクタリング会社が少ない⇒ファクタリングと名前のついている会社ではほぼ全てで利用可能

でんさいに登録できる金融機関を親会社に持つファクタリング会社しか利用できません。今後はでんさいファクタリングも一般的になると予想されていますが、現在は銀行系と呼ばれるファクタリング会社しか利用できないのです。

即日資金化には対応していない⇒取引方法やファクタリング会社によっては即日資金化が可能

つなぎ資金としての利用が多いファクタリングですが、でんさいファクタリングは申込んでから即日入金というようなスピーディーな資金調達には不向きです。審査や入金までのプロセスが通常のファクタリングよりも細かいことも理由です。黒字倒産ギリギリになってから申込むのではなく、債権発生後に資金繰りの精査を行い、早いタイミングでの利用しましょう。

でんさいファクタリングとファクタリング、でんさいと売掛債権の違いを知って効率的な資金調達を行う

でんさいとファクタリングは似て非なるモノです。それぞれの比較対象を間違えないように、基本をおさえておきましょう。くれぐれも、でんさいVSファクタリングという間違った情報を鵜呑みにせず、正しい知識で比較検討してくださいね。

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