毎月決まった日に請求書を取引先に送る。仕事の対価を支払ってもらうためにも重要な作業です。しかし、多くの請求書は取引先に到着してからすぐに入金されません。「売掛取引」として1ヶ月後、もしくは数ヶ月後にようやく入金されるのです。
請求書を発行しても、すぐに入金されない「売掛取引」は、運転資金が豊富ではない中小零細企業の資金繰りを悪化させる要因の1つです。請求書を作るときに「この金額が明日入金されたらかなり楽なのに…」と考えている経営者も少なくありません。
ファクタリングは入金日が数ヶ月後の請求書を「入金期日前」に現金化できる「資金調達方法」なのです。ファクタリングの効果的な使い方を学び、利益確保と資金繰り改善をしてください。
請求書の買取りサービス=ファクタリングの基本
ファクタリングは入金日前の請求書を売却して資金調達を行う金融工学です。古くは15世紀から行なわれている金融取引で、海外でも特にヨーロッパや北米では、手形取引よりもメジャーな金策です。
ファクタリングは入金日前の請求書、つまり「売掛債権」が無ければ資金調達ができません。売掛取引がここまで多くなってきたのは「手形発行や管理に伴う手数料などの削減」が根底にあります。昭和から平成中期までは「手形」による商取引が一般的でした。
しかし、相次ぐ為替変動や長引く不況のあおりを受けて企業の倒産が相次ぎ「手形」そのものが不渡りになるケースが多くなっていったのです。不渡りによる連鎖倒産を防ぐため、そして手形手数料の削減が可能な「売掛取引」に移行してきました。
ただし、手形割引よりも支払期日が長いなどのデメリットもあり、その影響で資金力の乏しい中小零細企業の「黒字倒産」が増えてしまったのです。
ファクタリングの取引方法
ファクタリングには主に2つの取引方法があります。売掛元であるファクタリング申込企業と、債権を買い取るファクタリング会社の2社間で交わされる「2社間ファクタリング」がまず1つ。2社間に売掛先である取引先を加えた「3社間ファクタリング」が2つ目の方法です。
それぞれにメリットとデメリットがあります。
〇2社間のメリット⇒資金調達までのスピードが早い
△2社間のデメリット⇒手数料が高い
◎3社間のメリット⇒手数料が安い
▲3社間のデメリット⇒資金調達まで時間がかかる場合がある
2社間とメリットとデメリット、そして3社間のメリットとデメリットはそれぞれが相反するようになっているのが特徴です。手数料を少しでも安くしたいならば3社間、一刻も早く資金調達をしたいのであれば2社間というように、状況に応じて使い分けると良いでしょう。
ファクタリング会社の特徴
ファクタリング会社には
- 独立系
- ノンバンク系
- 銀行系
の3つに分類されます。
独立系
独立系とは、ファクタリングを主業務として営業している会社で、小規模取引を得意にしています。数万円~数百万円程度の債権であれば、即日資金化も可能などフットワークの軽さが特徴です。個人事業主の利用もOKにしている会社が多いです。
ノンバンク系
カードローンや手形割引などの「金貸し」を主業務にしている会社です。金貸しの知識をベースにファクタリングサービスを展開している場合が多く、資金力もそこそこあります。
銀行系
みずほ銀行や三井住友銀行、三菱UFJ銀行のメガバンクに加え、最近ではりそな銀行などもファクタリング業務をスタートしました。大きな銀行ほど持株会社扱いでファクタリングを子会社として保有しています。
独立系やノンバンク系に比べて審査通過率が低く、資金化までのスピードも長めです。ただし、最も手数料が安いです。本来のファクタリング審査は売掛債権と取引先の財務状況が重要視されます。
銀行系では申し込んだ企業の財務状況もチェックされるのです。赤字決算や税金滞納などがある場合は審査通過がかなり難しいのが銀行系ファクタリング会社の特徴です。
請求書買取りで会社の財務状況が好転する!
先ほども少し触れましたが、売掛債権の入金サイクルが不安定だと自社の資金繰りもうまく行きません。支払期日までの期間中に急な経費が発生した場合に対応できなくなってしまうのです。請求書の買取りで自社の財務状況を改善させましょう。
帳簿上は黒字でも倒産する可能性がある
売掛取引は帳簿上で黒字でも、実際の運転資金は手元に無い取引方法です。万が一従業員がトラブルに巻き込まれて損害賠償が発生した場合、保険金で対応できない部分は自社資金から支払わなくてはなりません。
元請会社からの入金が遅れた場合も同様です。多くの中小企業は元請を筆頭に下請や孫請、ひ孫請などピラミッドのように売掛の関係がつながっています。元請からの入金が遅れると、自社の下請つまり元請けの孫請会社への支払いは元請ではなく、下請であるあなたの会社が負担しなければならないのです。
「重要で緊急性の高い支払い」には、銀行融資や助成金では対応できません。審査通過をしたとしても、入金までは数週間から数ヶ月かかります。その数ヶ月の間に自社の下請や孫請が連鎖倒産する可能性もあるのです。請求書をファクタリング会社に買い取ってもらい、すぐに対応することが重要なのです。
取引先の万が一に備えられる
企業同士の付き合いは「人間同士の付き合い」です。売掛取引も人間関係が重要なウエートをしめています。しかし、ビジネス的な側面で見たときに取引先は本当に売掛金を支払える営業状況にあるのでしょうか。
万が一売掛金を支払わずに倒産してしまったら、あなたの会社はどうなりますか。取引先の倒産リスクを抱えてしまう売掛取引で、共倒れを防ぐためには「リスクヘッジ」が必要です。
ファクタリングは基本的に「償還請求権無し」で資金調達が可能な金策です。償還請求権とは、売掛債権が不渡りになった際に、ファクタリングで得た資金の返済請求ができる権利を指します。手形割引などは償還請求権有りでの契約が常識ですが、ファクタリングに関しては「不渡りリスク」ごと売却譲渡できるのです。
請求書の買取り先には注意が必要!?元闇金がファクタリング業界に鞍替えしている理由
初めて請求書の買取りをする場合、買取り先であるファクタリング会社に注意しなくてはいけません。貸金業法の改正によって多くの闇金業者が摘発されたのは記憶に新しいですが、その元闇金融業者がファクタリング会社に鞍替えしている事実があるのです。
自社の資産はもちろん、取引先と交わした大事な売掛債権を適切に資金化するためにも、元闇金とファクタリング業界の関係を頭に入れておきましょう。
法律が貸金業法ほど整っていない
ファクタリングの法律は民法466条「債権の譲渡性」で定められています。2020年4月から改正されますが、手数料の上限値など細かい部分での法整備がされていません。
こうした「法の穴」を付いて悪質なファクタリングを行なっているのが「元闇金融」なのです。手口としては
- 手数料が相場以上
- ファクタリングだと思っていたら実は売掛債権担保融資だった
- 契約書上は償還請求権無しと明記されているのに償還請求権有りになっている
などがあります。売掛金が取引先から入金されずに、ファクタリング会社へ送金されない場合は恐喝ともとれる方法で回収しようとする手口もあるようです。
さらに詳しく知りたい方はこちらをお読みください↓
参照 悪質なファクタリング会社は存在するのか? 気を付けたいファクタリング業界の闇
動かせる金額が個人とは桁違い
元闇金の顧客は「個人」でした。1人の債務者から得られるお金は微々たるものでしかありません。しかし、ファクタリングは個人ではなく「法人」です。動かせる金額も個人の債務の数倍、数十倍です。
同じ手間で闇金よりも実入りが良いならば、闇金業界に戻る必要もありません。お金の知識は闇金時代に馴らした輩達です。言葉巧みに不利な契約に持っていくのもお手の物です。
元闇金融や悪質な詐欺ファクタリング業者とは絶対に契約しないでください。
悪質なファクタリング会社を見抜くポイントはこちらをお読みください↓
参照 優良ファクタリング業者の見分け方 悪徳業者を見分ける3つのポイント
請求書の早期資金化で会社の資金繰りはうまくいく!
請求書を買い取ってもらい、早期資金化できれば企業の可能性は大きく広がります。お金の使うべき優先順位は「緊急かつ重要>緊急ではないが重要>緊急だが重要ではない>緊急でもなく重要でもない」の順番です。請求書の買取り、ファクタリングは最も優先順位の高い「緊急かつ重要」な状況でメリットを発揮します。
資金繰りが苦しくてどうしよう…と頭を抱える前に、まずはファクタリング会社選びから初めてください。