日本でのファクタリング認知度は海外に比べると低い傾向にあります。
それでも最近では、緊急対策としては認知されてきました。たとえば以下のような悩みを持っている事業者はファクタリングの利用を考えてもよいかもしれません。
- つなぎ資金が必要
- 短期で資金調達がしたい
- 支払い期日が迫っている
共通していることは「早急な資金調達」ということです。ファクタリングはこのようなケースで利用されやすいのが現状です。つまり時間がないために、本当は気にしなければならないはずの「手数料や割引率」まで把握しきれずに契約してしまうケースが多くなります。
これにより、手数料に関するトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。資金調達ができてもトラブルを起こしてしまえば元も子もないのです。
面倒なトラブルを回避するためにも、今回はファクタリングの手数料について解説していきたいと思います。
手数料以外の費用はかかるのか?
ファクタリングはローンや融資ではありません。あくまでも「売掛債権の譲渡」なので、利息は発生しません。ですが、ファクタリング会社が売掛債権を買い取る際、「買取額の○○%」というファクタリング手数料が発生するのです。
この手数料には、ファクタリング会社によって基準があります。
- ファクタリング方式
- ファクタリング会社の方針
- 売掛先の信用力
- ファクタリング利用者の信用力
基準に基づき、手数料の割合が決定するのです。
参照 ファクタリングの手数料
掛目と手数料の違い
ファクタリングは手数料とともに「掛目」というものが発生します。ただし、手数料が費用であれば、掛目は一時仮押さえ金の役割を担います。売掛金の回収が完了したときに支払うお金が掛目なのです。
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社へ売却することで現金化する資金調達方法です。
例えば、売掛金の金額が100万円あるとします。その売掛債権を、ファクタリング会社に売却しても実際に100万円全額が調達できるわけではありません。
ファクタリングでは手数料が必要となりますが、別途掛目が発生する業者も存在します。この場合における掛目は、保証金や一時仮押さえ金のようなものです。売掛金が回収されてはじめて清算されるものなのです。
掛目は引き下げできない?
ファクタリングの掛目は一般的に70%~100%です。幅がある理由として、
- ファクタリングには様々な取引形態がある
- 売掛債権に対する債権回収の信頼度
といった点が挙げられます。
ファクタリング業者が、資金回収の可能性が高いと判断した場合などは100%となることもあるのです。100%であれば掛目として評価額が引かれることはないということを意味します。
掛目そのものを引き下げるというより、ファクタリング会社との信頼関係や売掛先の経営状態によって不要なもなるのが掛目なのです
手数料は引き下げできる?
ファクタリングの手数料は、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングにより変わります。
- 2社間ファクタリング 10%~30%
- 3社間ファクタリング 5%~10%
これだけの差があるのは、2社間ファクタリングがファクタリング会社にとってリスクが大きいからです。
ですが2社間ファクタリングは売掛元に債権を手放したことを知られずに済むメリットもあります。手数料の割合は、取引先の信用度や、売掛元の経営状態や財務状況など、細かな点から決定するため、引き下げとなると厳しいのが現状。
参照 2社間ファクタリング
参照 3社間ファクタリング
手数料の内訳とは?
ファクタリングの手数料といっても、その中にはいくつかの内訳があります。
- ファクタリング会社の収益
- 登記費用
- 印紙代
- 出張費用
- 紹介料
上記が細かな内訳です。それぞれファクタリングする状況や金額などから計算されていきます。
引き下げできる手数料
ファクタリングの手数料内訳の中で大きいものとしてファクタリング会社の収益があり、これが人件費や設備費や売上に充てられます。
ファクタリング会社ごとに設定されている手数料を決めている要因には、
- 売掛先の信用度
- 買取債権金額
- 2社間か3社間か
- 履歴の有無
などが挙げられます。
ファクタリング会社はこれらを審査した上で手数料を決定するのです。固定費が大半を占める中、収益の引き下げは交渉次第で可能となります。
引き下げできない手数料
先にも述べましたが、固定費の中で最も費用がかかるのものが、登記費用です。登記費用とは、
- 債権譲渡登記および抹消登記事務代行報酬
- 債権譲渡契約書作成事務代行報酬
などが挙げられます。
司法書士に手続きを依頼した際に発生する登記費用は、手続き上発生する費用です。買取金額の大小に影響されにくく、引き下げのできない固定費用だと考えるのが賢明です。
ファクタリング業者と長期的な契約を行なうこともオススメ
ファクタリングはビジネスです。「親しいお客様には優遇してくれる」といった要素は少なからずあります。早急な資金調達のために利用するため、単発での取引が多いファクタリングですが、長期的な契約を結ぶと両者にとってwin-winとなるのです。
ファクタリング会社のメリット
- 固定客を持つことで経営が安定する
- 固定客は審査の手間が省ける
利用客のメリット
- 手数料の引き下げが可能
- よりスピーディーに対応してもらえる
お互いのメリットを活かすためにも長期的な契約をオススメします。
大企業も活用しているファクタリング
ファクタリングは、早急な資金調達の方法として利用されています。主な利用者は中小企業や個人事業主ですが、最近では大企業もファクタリングを利用するようになりました。ただし、大手企業はファクタリングのニュアンスが少し違います。
大企業は、下請けに対し手形で支払いをしていますが、約束手形の発行をやめたい理由があります。
- 発行はコストがかかるから
- 作成に手間がかかるから
- 管理が大変だから
- 強い効力を持っているから
このような点から、大企業は下請け企業に対して、ファクタリングの利用を促しているのです。
財務状況の改善は一朝一夕ではできない
経営というものは、日々の財務動向があり成立しています。設備投資や人員増加といったプラスな財務状況の反面、取引先の倒産など不測の事態に陥ることもあるのです。
- このままでは数か月後には資金がショートしてしまう
- 金融機関からはもう新たな借入を断られている
- 資金繰りをなんとかしたい
これでは、経営を継続させるのは困難となります。財務状況の改善は、長期的な対応が必須であり、一朝一夕でできるものではありません。
ファクタリング会社とうまく駆け引きすればより有効な資金調達ができる
日本でファクタリングが進んだのは1970年代です。それまで進んでこなかった背景として「資金調達=銀行融資」という固定概念があったからです。しかしバブルが崩壊し、貸し渋りや貸し剝がしといった金融機関の荒手なやり方に中小企業や個人事業主は倒産を余儀なくされたのです。
そんな苦しい状況に手を差し伸べてくれたのがファクタリングです。
高い手数料請求や悪徳業者の増加など問題もありますが、資金調達を断念せざるを得なかった中小企業や個人事業主とっては、とても理にかなった資金調達方法がファクタリングなのです。
また最近では、数多くのファクタリング会社が設立されています。これによりファクタリング業界での競争が激化しています。これはつまりファクタリングを利用する事業者にとってみると良いことです。相見積もりを複数社から取ることにより、手数料を引き下げる交渉をすることができるのです。
ファクタリング会社としては、事業者の持つ売掛債権を購入しなければ商売が始まらないため、なるべく他社よりも良い条件で購入しようと考えます。
このようなこともあり、ファクタリングでは相見積もりとの相性が非常に良いのです。ただしファクタリングを利用する事業者の多くは、資金調達を緊急で行う必要があるケースが多いです。そのため相見積もりをする際にも迅速に動くことが大事でしょう。
自社の財務内容や利益構成をしっかり把握して、うまくファクタリングを活用すれば、事業を円滑に進めてゆくことが可能となるのです。